「スペインっ、スペイン!」
「ん〜〜、」
開かれたカーテンから差し込んだ陽の光が瞼にかかり、更に身体を揺さぶられてスペインは目を覚ました。
自分の名を呼ぶ声の主の姿が視界に入り、半場無意識に口角が上がる。
「ロマーノ、おはよ」
「よっ。朝飯」
「いきなりそれ?おはようのちゅーは?」
「はぁっ!?」
ベッドに乗り上げた身体ごと思いきり後ろに引いたロマーノは、顔を真っ赤に染めて脇にあったクッションをスペインの顔に叩き付ける。
「ぶっ!」
「だっ、誰がそんな事するか!馬鹿スペイン!」
「痛…酷いわぁロマーノ、親分虐めや…」
「テメーが馬鹿な事言うからだろこんちくしょーが!」
頬を膨らませてそっぽを向いてしまうロマーノを一度微笑んで眺めてから、スペインはふて腐れた様に体重をベッドに沈める。
「じゃあ起きへん、二度寝するもん」
「ああ?ばかやろー早く起きてメシ作れって!」
「嫌や、ロマがちゅーしてくれな起きへん」
頑なに身体を起こそうとしないスペインに、ロマーノは唇をきつく噛み締める。
暫くそうし、一つ溜息を吐いてスペインの身体を跨いで見下ろした。
瞼を閉じたまま動かないスペインの唇に視線を落とすと、胸が脈打つのがわかる。
決心を固めてゆっくり、自分の顔を近づけた。
目を閉じて三秒後、温かな唇同士が触れ合う。
そっと目を開くと、すぐそこに綺麗なオリーブの瞳がロマーノをしっかり捕らえていた。
「…目ぐらい閉じときやがれこのやろー」
「やって、折角ロマからちゅーしてくれたのに勿体ないやん」
「っ、もういいだろ、早く起きろ!」
ばっと離れてベッドを降りてしまったロマーノに寂しさを感じつつ、スペインはようやく上半身を起こしてシーツを横に払った。
ぶつぶつ文句を言いながら腕を組んだロマーノがちらと、視線を寄越して、何故かぴたりと固まる。
更に頬の色を濃くして、再びクッションを掴んでスペインに投げ付けた。
「わっ!何すんのロマーノ!」
「うるせー!テメーの下半身に聞きやがれ!」
「下半身?」
言われて、自分自身を見下ろす。すると、スペインの分身は柔らかい綿のズボンをしっかりと押し上げていた。
外から見てもはっきりとわかる変化に、スペインは笑いロマーノは身体を震わせる。
「あははっ、ロマのちゅーで勃ってもーたわ」
「嘘吐けただの朝勃ちだろ!このヘンタイ!」
上手く避けたクッションを抱えて笑い飛ばすスペインだが、ロマーノは恥ずかしいのかすぐに視線を逸らしてしまう。
スペインは今一度確認するが、やはりロマーノのキスが引き金になったようで簡単には収まりそうにない。
背を向けたままのロマーノに、スペインは努めて優しく声をかける。
「なぁロマーノ、これ収まらないんやけど」
「知るか!そんなもんズボンに押し込んで早く朝メシ作りやがれ!」
「そんなん言わないで収めたってやー」
途端、ロマーノが勢いよくスペインを振り返る。
わなわなと握った拳を震わせて、口をぱくぱくと動かしているが声は中々出てこない。
それをいい事にスペインは笑みを浮かべて続ける。
「ロマが収めたって?そしたら俺も朝メシ作れるし」
「ば、ば、ば…ばっかじゃねーの!第一今日は昼から会議だろーが!」
「じゃあ口で」
「口ぃ!?」
一々反応が大きいロマーノに、そんなところすら可愛いと思いながらスペインはベッドの上で足を開く。
そそり立つ中心部を指差して、柔らかい口調で囁いた。
「したって?」
「っ……」
ロマーノはそれ以上、何も言い返す事が出来なかった。
ロマーノは目の前にあらわになったモノを凝視して冷や汗を流した。
笑顔に引き寄せられるようにベッドに登ってはみたが、いざこういう体制になるとやはり尻込みしてしまう。
今まで口で、と言うのは片手で数える程しか無かった上、全て前儀のさらりとしたものだった。
ロマーノがスペインの口で達した事はあるが、その逆は無い。
ズボンも下着も取り払ったスペインを前にして、ロマーノは一度唾を飲み込んだ。
そんな心中を察したのか、スペインはロマーノの頭を優しく撫で上げる。
「ロマーノ、いつもしてくれるみたいでいいから」
「いつもみたいに、って……」
いつもみたいにしてもお前イかねーだろこのやろーと思いつつも、ロマーノはそっと上半身を屈めてスペインの熱に顔を寄せた。
息がかかる程近寄ると、スペイン自身がふると震える。
両手を添えて見上げると、それだけで脈打つのが伝わった。
スペインはいつもより余裕なさ気に笑い、両手を後ろ手について軽く腰を前に出す。
「ロマ、早く。くわえて」
「………」
切羽詰まった様な声で懇願されれば、ロマーノもこれ以上躊躇う事は出来ない。
口を開いて先端をぱくりとくわえる。舌先でちろ、と小さく舐め上げると、スペインが息を飲むのがわかった。
それが嬉しくて、ロマーノは一層深くスペインをくわえ込む。いつもの様に舌を必死に這わせれば、それは一回り成長し硬度が増したように感じた。
「んっ、ふっ…」
「…あー、めっちゃいいよ、ロマーノ」
右手でロマーノの髪を撫で、くるんと癖のついた部分を弄りながら、スペインは愛しそうに視線を落とす。
口に含んだまま見上げると、少しだけ眉が揺れた。また、質量が増す。
「ロマ、そんな涙目で見られたら親分、我慢出来んのやけど」
「っ、しなきゃいーだろ、我慢なんか」
むっとして、ロマーノは再びスペインを口内の最奥までくわえ込んだ。
なんだかロマーノの口ではイきたくないと言われたようで、腹が立つ。
意地でもイかせてやろうと意気込んで、ロマーノは力強くスペインを吸い上げた。
「んっ、ロマ、ちょっと痛い」
「え?」
「そんな力込めたら、歯当たる」
言われて、慌てて口を離す。
ロマーノはただどうしてもイって欲しくて、気持ち良くなって欲しかった。だから自分なりに一生懸命奉仕していたつもりだったのだが。
あからさまに気落ちしたロマーノの様子に、スペインは優しく微笑んでそっと両頬を包む。
「ロマーノ、そんな急がなくていいし、いつも通りで十分気持ちいいんやで?」
「……でも、」
「ん?」
ロマーノは言葉を飲み込む。気持ち良くてもイかなきゃ意味ないだろと、思っているが言うのは悔しい。
何も言えずにじっと見上げていると、スペインはまるで何もわかっていない様子で首を傾げる。
「ロマーノ?」
「…じゃあ、教えろ」
「え?」
「お前がもっと気持よくなるように…教えろってんだよこんちきしょー」
頬を真っ赤にして吐き出すように言ったロマーノを、スペインは目を丸めて見つめる。
しかしすぐに頬が緩み、その赤い柔らかい場所にキスをした。
「ロマーノ、俺に気持ち良くなって欲しいん?」
「………」
「じゃあ、教えたるな」
「、わっ!」
くい、とロマーノの身体が反転する。ふかふかのベッドにぼふ、と顔から落ちた。
痛くはないが驚いたロマーノは、首だけで振り返りスペインを睨みつける。
「何すんだこのやろー!」
「教えて欲しいんやろ?」
言いながら、ロマーノのズボンを下着ごと下ろす。
調度スペインの目前に下腹部を晒す体制に、一気に羞恥心で満たされた。
「教える、って…」
「俺がする様に、同じ様にして?そしたらロマもわかりやすいやろ?」
スペインの前にはロマーノ、ロマーノの前にはスペインが。
ようやくどういう状態か理解したロマーノは、慌てて腰を引こうとする。
しかしスペインは許さない。ロマーノの腰をしっかり固定し、既に重力に逆らっているモノに口を寄せた。舌でそっと竿をなぞる。
「うあっ」
「俺の銜えて、ロマのここ、こんなんなったん?」
嬉しそうなスペインの声に反論しようと振り返るも、更なる刺激が与えられままならない。
ちゅ、ちゅ、と先端や裏側にキスされる度、声が小さく短く漏れる。
震える唇で、ロマーノはなんとかスペインのものに同じように愛撫を始めた。
「んっ、んっ……」
「そう、で、次な」
「ふ、ぅっ!ンんっ!」
舌で先端を覆われたかと思ったら、そのまま温い口内にすっぽりと銜え込まれた。
暖かい空気の中、更なる熱がロマーノの敏感な部分に這い回る。
じっとりと、スペインが唾液を絡ませてロマーノを舐めまわす。同じように、と頭では思っても快楽に溺れた状態では身体がまともに動かない。
なんとかスペインを口内に収めようと大きく口を開くが、どう頑張っても先端と後少ししか含めない。スペインは根元までロマーノを飲み込んでいると言うのに。
それがなんだか悔しくて、必死に舌を動かす。ロマーノの舌先が偶然鈴口に触れた刹那、一瞬スペインの腰が揺れた。
「っ…ロマーノ、先端、もっとしたって」
「んんっ…ふぇ?」
「そこ、もっと…きつくてええわ」
きつく、と言われても先程痛がらせてしまったばかりでロマーノはどうしていいかわからない。
するとスペインがロマーノの先端を上手く歯が当たらないように吸い上げる。びく、と反応を示しながらも、スペインを離さないように吸いついた。
意識して、歯が当たらないように唇でしっかりと挟む。下半身に走った刺激に頭がくらくらしたが、同じ様に舌を滑らせた。
「はっ…うまい、上手いでロマーノ」
「ふっ、ううっ…あっ!や、やめ…っ!」
「んー?ココ気持ちええ?」
裏筋の皮と亀頭の境目に舌が触れた途端過敏な反応を示したロマーノに、スペインは口角を上げて微笑む。
ゆっくりと、押しつけるようにして舌を当ててから、くるりと円を描くように滑らせた。
遂にロマーノは口からスペインを逃がし、今までで一番上ずった声を上げる。
ふるふると揺らすロマーノの腰を両手でしっかりと固定し、横に振られる頭を無視してスペインはしつこくそこを攻めた。
「ここ?この裏っかわ?」
「あ、あ…ぅ、もっ、も、やめ…っ」
「もう出そう?出してもええけど、俺がイクまでやめたらんよ」
そもそも俺を気持ち良くしたいって言ったのはロマーノやし。
スペインは普段とは違う、少し意地悪い口調で言いながらロマーノを攻め続ける。
限界が近いと言うのは自分が一番よくわかっていると、ロマーノはどうにか再びスペインを銜えた。
それでも力が入らない。ゆるゆるとした舌の動きでは、到底この男を達せさせる事など出来ないとわかってはいても。
もう全て吐き出したい。頂点まで上り詰めて、全てをスペインの口に出してしまいたい。
けれど、こういう時のスペインは自分を曲げない。言ったからには、ロマーノが達しても自分がイかない限り行為を止めてはくれないだろう。
それだけは避けたかった。ロマーノは達した直後に弄られ続けて、それで狂わずにいる自信など微塵も無かったからだ。
スペインはまだイかない。でも自分は簡単にイってしまいそう。
最早残された羞恥心は薄かった。ロマーノは左手を自身に伸ばし、根元をきつく握りしめる。
それに気付いたスペインが、驚いたように目を丸めた。
「…何、ロマ。そんなんしないとイってまいそうなん?」
「うう…っ、は、ぁ…っ」
「…ええよ。なら、我慢比べやな」
ちう、と先端を吸う音が響く。その刺激だけで達してしまいそうになり、必死に左手に力を込めた。
目を瞑り、力の入らない舌先でスペインを追いたてる。無我夢中で舐めまわし、右手で竿を刺激した。
「ぅっ…ロマーノ、それ反則…っ」
スペインのくぐもった声が届く。しかし、ロマーノにはそれがどれを指すのか判断する余裕は残っていなかった。
びくびくとようやく震えだすスペインの内股に安堵の兆しを見つけ、舌の動きを繰り返す。刹那だった。
「ふっ、ぅぁああっ!」
びゅく、と今まで我慢していた物が飛び出す感覚に全身の力が抜ける。
思いもしない場所への刺激に、思わず手を離してしまったのだ。
急にねじ込まれたスペインの指の感覚を後ろで感じ取り、熱はあっけなく放出される。
短い喘ぎを途切れ途切れに発していると、視界の端に悪戯っ子の様に笑いながら口元を拭うスペインが映った。
「ゴメンなぁ。俺負けず嫌いやから」
「ぁ、ぁっ…ひ、きょうだ、ぞ…っ」
「やからごーめーん」
ちゅ、と柔らかい片尻にキスされて、その感覚にも身体が震える。
崩れ落ちたロマーノの下から這い出したスペインは、うつ伏せに身を沈めるロマーノの口元に育ち切ったモノを突き付けた。
「なんかずるい事してもうたし、これ以上攻めるのはやめとくわ。でも、続きはしたって?」
まるで悪びれる様子の無いスペインの笑顔に、ロマーノは内心舌打ちしてぼろくそに罵倒してやりたい気持ちで一杯だった。
けれど、突き付けられたものに焦点を合わせるのが精一杯でそんな言葉は出てこない。
先端から雫を垂らし、今にも弾けそうな程膨らんでいるスペインのそれ。
ここまで育てたのは自分なのだとおもうと、思わず喉が鳴った。
そろ、と身を起こして舌を伸ばす。先端に触れて、そのまま奥まで飲み込んだ。
「はぁっ…ロマーノ、俺もすぐ出そうやわ…」
「ふぅ、ぐっ…んんっ、」
「あ、あっ…そこ、吸って…っ!」
「んぐ、っ!」
言われた通りにきつく吸い上げると、口内の熱の塊が一際大きく脈打った。
間も無くして、ロマーノの口一杯に生臭い味とぬるりと暖かい感触が広がる。
一度喉を大きく鳴らして飲み込み、けれど次から次に溢れ出る全てを受け入れる事が出来ずその多くを零してしまう。
ようやく酸素を求める事が出来ると、大きく肩を上下させているスペインと目が合った。
「あー…気持ち良かったぁ」
「…そりゃ、良かったじゃねーか……」
馬鹿スペイン、と言葉にする気力も無く再び身体をベッドに沈めると、大きな掌がそっとロマーノの頬に触れる。
いつも暖かなそれは今日限り滑りを帯びて、少し気持ち悪かった。
けれどやはりどこか心地良さを感じて目を細めると、そっとスペインの唇が降りてくる。
触れあった時に感じた苦さは、最早どちらの物か判断がつかなかった。
「ほんまに大丈夫か?イタちゃんに言うとくし、やっぱ休む?」
「こんくらい平気だこんちくしょー…」
すっかり身支度を整えたスペインにネクタイを結んでもらいながら、ロマーノはむすっとした表情で答えた。
慣れた手つきで整えられたネクタイを見て、身を翻しスーツの上着に袖を通す。
姿見に自分を映して、いつもよりほんの少しだけ赤い頬には気付かないふりをした。
「でも無理させたなぁ。ごめんな?ほんまはもっとさらっと終わる予定だったんやで?」
「…もういいよ、馬鹿スペイン。ほら、さっさと行くぞ」
「お詫びに、今日のおやつは俺持ちな?」
顔色を窺うように上目で覗き込んでくるスペインを、ロマーノは暫く無言で睨み返す。
しかし焦りの見えるその表情を眺めていると、仕方ないかという気持ちを込めた溜息しか出てこなかった。
「…チュロスとポルボローネ。それで許してやる」
「おう、まかしとき!」
安心したように胸を撫で下ろすスペインの横で、ロマーノは実は満更でもない達成感を感じていた。
初めて口でスペインを最後まで追い立てられた事が嬉しくて、知らぬ間に頬が緩んでしまう。
けれど調子に乗られては困るからと、決してそんな内心を悟られないよう必死に口元を引き締めた。
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初18禁。なんだか前ジャンルでエロ書いた時より緊張&恥ずかしいという。
エロなんてもう書きつくしただろって位書いてたんですけどね!なんでかな!
そんでもってこんだけやっといて最後までしないのかよというオチ。
だってロマは全部ぜーんぶスペインに教わったんだろうなって考えただけでもう…!
こうして床上手になっていくロマ(スペイン限定)に激しく萌える。変態か(変態です
09.05.22